木村泰子先生著 10年後の子供に必要な「見えない学力」の育て方 を読んで

読もう読もうと思って読めていなかった木村泰子先生の本をやっと読めた。
読み始めるとスッと読める本ではあるのだが、一つ一つの言葉が重く納得しきりの本であった。
大空小学校で実践されてきたことの記録とでも言える変遷を、目の当たりにすることができる。

ここで最も大切にされているのは、
たった一つの約束
「自分がされて嫌なことは、しない、言わない」
と見えない学力(10年後の社会で必要な力)で必要とな4つの力
1)人を大切にする力
2)自分の考えを持つ力
3)自分を表現する力
4)チャレンジする力

これだけで、先が読めない想定外を生き抜く、共生社会、多様性の中で要求される世の中で生きていくためには充分であるということである。

当たり前のような項目に見えるが、これから先の世の中を生きていく子供たちのために、大人がまずこのことをやってみると子どもが変わる!
ということがテーマである。子どもは大人の真似をする。
大人が変わっていくことで、子供が変わり共に幸せに生きることができるのである。
このことは、まさに私が学校を訪れ感じることと同じである。生徒たちは、教員の鏡だったりするのである。

「子どもは急激に変化できる」というセリフも出てくる。
問題は大人の方である。
すぐには変われない。
しかし、大人が変わるために必要なことは、木村先生が持たれていた素直な気持ちと感受性、実践だと感じた。
そして更に木村先生は「相手に求めない覚悟」がいると言われる。
そういう意味では、今の教育全体で大きな変化を強いられている中で、大人に要求されていることの大きさを改めて感じる本であった。

私自身も仕事を通して、生徒たちと話す機会があると無茶苦茶楽しいのであるが、専ら仕事の中心は大人である先生方である。
なぜなら、大人が変わることによって、子供も変わり、共に幸せになれると考えているからである。
この本の中でも同じことを言われている。それこそが、子どもの信頼を生み本音で語る安心感を生むと言うことにつながる。

最も感動したエピソードとしては、「キヨシロウの6年間のバースデイ集会」での話である。
6年生の最後のバースデイ集会で自分の言葉で言う
「みんな、ありがとう」と言ってマイクを置いて、深々と礼をしました。というところである。
1年生の頃から、何も喋れなかった子が6年目で初めてみんなの前で発したこの言葉。
その言葉を発したキヨシロウの想いをみんなが理解した上で受け止めてくれることを知っていたからこそ出てきた言葉。
6年間築き上げてきた信頼感の上でこそ成り立つキヨシロウの言葉。生徒達も教職員もドキドキしながら見守っている様子が伺える。
相手のことを理解することの重要性を強く感じたエピソードであった。

木村先生が、さまざまなところで言われる
「親は自分の子供でなく、自分の周りの子を育てましょう。その姿を子供達は見ています。」
「自分の子供は、周りの子供が育ててくれるのです。」
このセリフはまさに名言だと感動した。
木村先生自身も自分の子どもにはできなかったことを、他の子どもに実践されている。周りの子達が自分の子を育ててくれるからである。
そして、先生は、自ら進んで「失敗を認めて」「やり直す」を自らみんなの前で口にされることから始められている。
そこから全てが始まったとも言われている。

昨夜、私のオンラインセミナーで「わからないと言えない教員」という事例を使い全国の先生方と話をした。
「わからないと生徒にいってしまうと、腹が括れて、しだいに楽しくなる。」と言われた札幌西の松井先生が言われたことから今回のテーマを決めた。
他の話題も広がると思ったが、この話で内容がどんどん深まっていった。さまざまな問題を含んでいるテーマだということが再認識できた。

この話と直接は関係ないかもしれないが、木村先生の話の中にも、昨夜出てきた話と同じことが出てくる。
安心して「わからない」と言える、自分から「教えて」と言える
というくだりである。「安心していると学力なんて勝手に上がってしまうんです。」
最初は、授業の最後に「わかりましたか」と聞いて「はい、と言わないと休み時間がなくなるから・・・」と生徒
そこで、「わかりましたか?」と聞くことをやめたそうです。
代わりに聞いたのは、
「わからないところはどこですか?」と聞くようにしたら子どもたちが口を揃えて「わからなーい!」と言ったそうです。
先生が授業中教えているつもりだったことは自己満足。受け身の子供には全く伝わっていなかったということがバレてしまったというのです。
教員は、10分しか話さず、あとは教えあうことで学ぶ。教える方も、教わる方も。こまった時だけ「先生助けて!」と言えば良いというわけです。

これを読んだ時、昨日行ったオンラインイベントのテーマと繋がってきました。「学び合って課題を解決する力こそ10年後の社会で必要になる力です。」
と木村先生は言われるが、これは大人も同じだなと・・・

それを実際にやってみよう!参加者や主催者が、みんなでその人が抱えている課題、いやその人だけでなく自分も抱えているということに気がついて、互いに助け合うそんなオンライン職員室を作れないか?・・・・と

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